大地主は最凶の政治不適合者である

日本人にとっては、政治家が通称「造り酒屋」などとも呼ばれる
先祖代々の大地主、大庄屋の血筋であるなんてのは
もはや当たり前のこと過ぎて、そこに問題性を見出そうとする
意味すら見出せなくなってしまっている場合が多いものだが。

今まさにアメリカにおいて、典型的な不動産王であるトランプが
大統領として好き勝手やらかしていることがかえって、
アメリカにとってのセルフ経済制裁もいいとこな暴挙に
成り果てていることにより、スレタイのような実情が露わともなっている。

地主や戸主としての不労所得によって巨万の富を得ているような者は、
見るからに国王か何かのような見てくれからの威厳を帯びやすいもので、
だからこそ国や自治体を治める政治家としての資質にも恵まれている、
などという風に思えてしまい、民主政での票なども集めやすいのだが。

その内実はといえば、恵まれた土地や建物だけを選り好みして
私有することで私腹を肥やしている、我田引水の長者であるのが
真相であるために、恵まれた土地もそうでない土地も、富者も貧者も
どちらも存在するのが常である、国や自治体規模の世の中全体を
治めたりすれば、良かれと思って世を傾けるのが常態と化してしまう、
まさにただの一般民ほどにもろくな成果の挙げられない凶賊となるのである。

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日本などは、江戸期の徳治による民度の養生もあったおかげで、
政治が最凶の不適格者に牛耳られている弊害に苛まれながらも、
なんとか国としての体裁を保ち続ける程度の自転車操業を、
ここ150年にわたって保って来たものだが。

そんな持前のないアメリカなぞが、大地主に乗っ取られた現今たるや、
いつ国が崩壊して内戦状態に陥ってもおかしくないほどの危機状態にある。

たかが不動産屋風情が王族気取りで国に君臨とか、
その弊害に苦しみ抜いて来た日本人からすれば、ふざけきってるとしか
思えないのだが、実は大地主が王侯となるのは西洋の古来からの伝統で、
フランス革命その他の民主革命も、そこに鉄槌を下した政変だったのであり、
アメリカの現状も、それ以降からの先祖返りといった面があったりする。

大地主が王侯となっていた時代のヨーロッパといえば、
それこそ「暗黒時代」と形容される代物で、軍の統帥権によって皇帝が
戴冠していたローマ帝国時代などと比べても、亡国からの切り取り合戦が
あまりにも冷めやらず、その名残りでヨーロッパ諸国の平均面積も、
世界でも群を抜いて狭いような有り様でいるものである。

今のアメリカなどは、まさにそこに戻ろうとしているのである。

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